今日は2020年の放送当時にケーブルTVの歴代視聴率記録を塗り替えて話題になったというこちらのドラマの感想です~(スキズもドラマの名セリフ「愛は罪じゃないだろ!」を真似してたw)。
作品情報
- 邦題:夫婦の世界
- 原題:부부의 세계
- 英題:The World of the Married
- 放送:2020年
- 話数:32話(1話約40分)※放送時は16話
- 日本国内配信:Amazon prime video・U-NEXT・Leminoプレミアム・Netflix・Hulu(2024.7現在)
本作品の配信情報は2024年7月1日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはLeminoのホームページもしくはアプリをご確認ください。
予告編
あらすじ
引用元:KNTV『夫婦の世界』スペシャルサイト
評価(momoruruが勝手に採点♪)
総合評価 88点
夫の不倫から始まった離婚を巡る男女の復讐サスペンス!
お互いへの執着が生み出す愛憎が、周囲をも巻き込んで壮絶な復讐劇に…。猛列過ぎる展開に目が離せなかった~!
感想
ノンストップの壮絶な不倫復讐劇!
地上波以外での歴代最高視聴率を記録したことでも知られてるこのドラマは、ハン・ソヒの出世作としても有名!面白いよ~とは聞いていたものの、不倫ドロ沼系ドラマってことで、ラブコメ好きな私としてはちょっと腰が引けてたんだよね。
でも、同じくキム・ヒエ主演の不倫系ドラマ「密会」も見てるし、なにより「あなたに似た人」には結構ハマったしで、そろそろ行けるんじゃないか?(w)ってことでようやく挑戦w
いや~、見てみたら予想以上に恐ろしかった…
上記の2つのドラマと同じ不倫ドラマジャンルではあるんだけど、燃え上がる禁断の愛を女性目線で描いてるわけではなく、このドラマは、夫の不倫を知った妻が復讐を企てるストーリーなので、つまり立場は真逆。ざっくり言うと不倫の事後処理系ドラマって感じかも。
登場人物たちに安らぎのシーンがあったのは序盤のみ。あとは常にピリついた状態の中で、妻も夫も予想を超える手段を使ってドロ沼の離婚劇を繰り広げていくので、一度観始めたら「この先どうなっちゃうの~!?」って気になって視聴中断は難しい~!攻め込んだと思ったら攻め込まれてて…登ってるんだか落ちてるんだか分からない猛スピードのジェットコースターのようなストーリーだった。
この恐ろしいドラマ(?w)には原作があって、オリジナルはイギリスのドラマ「女医フォスター 夫の情事、私の決断」。前半はほぼ同じストーリーだそうなんだけど…いやー、どこの国でも離婚劇って同じような恐ろしさがあるんだね~。
ちなみにですが、いくつかの調査によると日本の既婚男性の浮気経験率は40~70%(ちなみに女性は20~30%)だそう…全く他人事とは思えない~っ!
緊迫感が半端じゃない~
私は全32話版で見てたんだけど(放送時は16話構成)、全体が3部構成になっているような感じで、1~12話の前半部分では夫の不倫発覚から妻の復讐、13~24話の中盤では元夫婦の再会と夫の復讐、25~32話の後半では元夫婦の息子のお話が描かれていたかな。
中でも私が一番ハマったのはやっぱり不倫発覚から妻の復讐を描いてた前半部分!
自分を愛してくれる夫テオと優しい息子に囲まれて完璧な家族を持ったと信じていた女医ソヌが、ある日、夫に微かな疑念を抱き、そこから一気に現実が崩れ落ちていくんだけど…
この続きはネタバレありますのでご注意を~
彼氏や夫の浮気を疑ったことのある人なら分かると思うんだけど(爆w)、夫に昨日の行動を尋ねたり、夫のスマホを盗み見ようとしたりするシーンだけでも緊迫感が凄いのよ~!そして義母の入院する病院の受付で、遂に旦那が嘘をついてることが明らかになったシーンなんて、緊張感のあるストリングスの音楽と相まってヒリヒリ感が半端じゃなくて…見てるこっちの胸が痛い~!
だから、テオが生活費も入れてないことが分かった時には私の怒りも爆発したよね~w 生活費も稼がずに浮気してる夫なんてもう全然どうでもよくない~?ソヌは社会的立場もあって収入も多いんだし、証拠を集めてさっさと離婚すればいいのに~!なんて思っちゃってたんだけど。
でも実はそう簡単な話じゃない。なぜなら、恐ろしいことに実は周りの友人たちはみんな夫の浮気を知っていて(しかも認めている)、妻であるソヌだけがその事実を知らなかったという…これはさすがにメンタル崩壊案件よ~!
さらに、夫は稼ぎがないだけじゃなく、妻に内緒で家や子供の保険を担保に借金までしてて、なんか色々最悪なんですけどー!!離婚の原因は女か金かってよく言われるけど、これじゃ両方じゃーん。
うーん、これは復讐やむなしかも~!!まじでとっちめてやってくれって思ったよw
(ほんと素晴らしい設定考えつくなあ。真実が明らかになる度に背筋が凍るぅ)
結局人は変わらない…
そしてこのドラマ、差し迫る緊迫感が凄いだけじゃなく、浮気の本質を見せてくれるところも凄いドラマだった。
例えば、自分の浮気は許して欲しくても妻の浮気は許せないとか、浮気の現場を見てしまったらもう二度と引き返せないとか…、それはたしかに共感しかない~!w
中でも印象的だった事が2つあって、まず1つ目はテオの罪の認識。
妻ソヌに浮気がバレた夫テオは「2人とも愛してる」とか言うのよね。(いやそうかもしれんけど…呆)
つまりテオの罪の意識なんてないんだよね。テオにとってはどちらも純愛でしかないから。
で、テオには二度と息子を会わせないと主張するソヌとの会話がこちら。
「他の女と遊んだのよ?子供を失うのは覚悟の上でしょ?」
「失敗は認める。どうしようもなかった。でも家族まで捨てる気はなかった。恋をするのは罪じゃないだろ!」
これがサレた妻とシタ夫の決定的な認識の違いなんだろうな~。離婚後もテオは「(結婚生活を)壊したのはお前の冷酷さだ」とか「お前が(浮気を)許さなかったからこんなことになったんだ」ってソヌを責めるんだけど、永遠に自分の罪を反省しないのは、そもそもそれが罪だとは思ってないから。認識の違う相手と話しても平行線なわけで、だからこそ浮気からの離婚はこじれるんだろうなあ…。
そして印象的だった事の2つ目は、人は変わらないってこと。
テオはドロ沼離婚でどん底を味わったはずなのに、こともあろうに再び不倫(元妻とだけど…)をしてしまい、この人何も学んでないのでは…?っていう状態に陥るんだよー。
結局テオは欲しいものを全部手に入れたかっただけなんだろうけど…。やっぱり同時に恋愛できる人はずっと複数の恋人が必要なんだろうなあって思っちゃったかも。恋愛の仕方はその人の性格みたいなもので、不倫の末に新たな女性と結婚した夫が再び浮気するケースをよく耳にするように、浮気する人はずっと浮気するし、逆玉が好きな人はずっと逆玉が好きだし(ついでに言うと若い子が好きな人は年をとってもずっと若い子が好きだよね…w)、人はそう簡単には変わらないんだろうなあ。
そんなテオの相変わらずさが良く出てたのは、テオがソヌから「女がいるでしょ」って問い詰められるシーン。浮気の事実を正直に言うべきか、隠し通すべきか迷った末に(妻は何かを知ってるのか、それとも何も知らずにカマをかけているのか、あの時のテオはめちゃくちゃ脳内が高速回転してるはずw)結局シラを切り通す方を選んで、事実を知ってたソヌの怒りに触れて撃沈するんだけど…
これと全く同じシーンが後半で再び出てきて、テオがダギョンから「あの女と寝たの?」って問い詰められるのよ。テオくん二度目の大ピンチ!そして前回の反省を活かしてシラを切り通すのはやめ、正直に「寝た」と言ってみるんだけど、結局ダギョンに徹底的に責められて二度目の撃沈…
ほんとこの男ってばさー。何年経っても、家族が変わっても、結局中身は変わんないのね~ってつくづく思うシーンだったわ。
これ、どっちも狂ってるでしょ?
ここまでの感想だと、まるでテオだけが加害者のように思われるかもしれないんだけど(いや、そもそもの原因を作ったのは他ならぬテオなんだけど)、このドラマの恐ろしいところはテオだけが悪いわけじゃなくて、ソヌも加害者だったところ。
というか、むしろソヌの方がヤバイ可能性も…w
前半のソヌの感情はある程度分かるのよ。夫と離婚するために、自分の財産を奪い返したい、浮気の証拠を確保したい、ついでに浮気相手と自分を笑っていた友人たちに嫌味くらい言ってやりたい、そのせいで夫が破滅しようがそんなん知らん、ってまあそのくらいまでは理解できたんだけどさ。
でもそれ以上のことはね、さすがにやり過ぎだと思うんだよなー。
故郷コサンの街に戻ってきたテオが執拗にソヌを引きずり降ろそうとするんだけど、危険だと思うなら子供のためにコサンを離れなきゃダメだったし、ソヌの立場なら簡単に逃げられるのに、ソヌはプライドが高いからなのかいつでも真っ向勝負。別に相手にしなきゃいいのにさ~。
もうコレ、お互いにただ負けたくないだけなんだもの。元夫婦の壮大な痴話喧嘩に街中が巻き込まれちゃってるだけなんじゃない~?って思っちゃったな。
それから、ソヌがテオの友人ジェヒョクと寝てしまうのもやり過ぎだろ~とは思ってたけど、それ以上に、離婚後に再びテオとソヌが関係を持つ展開はさすがに受け入れ難かった~!テオはもうそういう人間だから百歩譲って放っておくとして、ソヌはそれでいいの?憎んでいたんじゃないの?って理解できなかったー。
ちなみにソヌが語るその時の心境はこんな感じ。
「かつての習慣、憐みという名の和解?傷付つけたことへの謝罪?間違った選択と過去への後悔?あるいは一瞬の欲望に負けるほど孤独だったから?」
いやそうかもしれんけど…呆(二度目)。
結局似た者夫婦だったのかもね。
しかもそれを息子に見られてるとかもう色々が地獄すぎだよ~!
更に全く共感できなかったのは、ソヌがわざわざテオと寝たことをダギョンに暴露しちゃうこと。この後のソヌがダギョンに干渉していく流れなんてほんと最悪で…ダギョンのことはもう放っておけばいいのに、ソヌの負けず嫌いが出ちゃったのかわざわざ証拠品まで保管しといて「あなたと私は似てる」って言ってみたり、「不幸から逃れる最後のチャンスよ」って知ったようなことを言ったりしててコワーイ。ソヌとダギョンは違うんだから、善意みたいな顔して人を陥れるのダメでしょ…。
そもそも完璧な男なんてどこにもいないわけで。どこんちの夫だってただ普通の人間。間違いも起こすし後悔もする。だからって「あなたの旦那は完璧じゃないわよ」っていちいち他人が言う必要ってあるのかなあ。完璧じゃないはずの相手の欠点が見えないくらい夢中になっている状態が恋愛なのであって、無意味に夢から醒ますのってズルい気がした。そこまで干渉する資格はあの時のソヌになかったんじゃないかな。
とにかくジュニョンが不憫
中盤から後半にかけて、この元夫婦がどんどんヤバイ人たちになっていってしまうので、前半では憎き浮気相手として登場してたはずのダギョンが後半では一番まともに見えてきちゃったりも。しかもダギョンは良い感じに絶妙に弱いので、いつもソヌに言い負かされちゃって悔しそうにしてるのもまた親しみが沸いてきたし…w
ダギョンがジュニョンに留学を勧めたのだってさ、思春期にあんなドロ沼見せられるくらいならジュニョンは離れてた方が結果的にはずっとマシだった気がするし、大人たちの中で最も冷静な判断ができる人物だったのかもしれないよね。
こんな環境にいたらジュニョンが真っすぐ育たないんじゃないかと思ってはいたけど、やっぱり盗癖に暴力と…めちゃくちゃ不安定になっていっちゃうのが見てて切なかった~!中学生が外泊してるのに家族の誰も気が付いてないとか悲しすぎるんだってば…
なのに母親も父親も、いつまでも自分たちの愛憎や勝敗にこだわり続けててさ…それって全部過去の話だし、ジュニョンの未来にはほとんど価値のない話なんだよね。誰もジュニョンの未来を考えて行動してくれない~。
親たちが争う度にジュニョンは傷付いていたけど、それを耐えて耐えてようやく生活が軌道にのるかと思ったのに…
息子との別れの直後に自殺して、死んでもなお息子を傷つけようとした父と、その父を抱きしめた母を見てジュニョンはその場を逃げ出してそのまま消えちゃうんだー。あれは多分、親たちに愛想を尽かしたというよりも、ジュニョンは心底怖かったんじゃないのかなあ。こんなに簡単に自分を痛めつける相手が身近に存在すること自体が…。
そしてジュニョンが消えてしまった直後のソヌの感情はこちら。
「何が正しい選択だったのか、選択の余地があったのだろうか、私が犯した過ちは取り返せたのだろうか。なんてつまらないことにしがみついていたのか、それに気が付いたのは全てが終わったあとだった。私は一番大切なものを失った。」
選択の余地なんて他にたくさんあったはずなのに、それに今も気が付かないなんて…って悲しくなったシーンだった。
執着ってコワイ。
というわけで相変わらず感想が超長くなりましたが(スミマセン~w)前半はジェットコースターのような展開に魅了されたし、後半はなんだかんだ色々考えさせられたドラマだったな。執着って無意味なだけじゃなく自分自身もブチ壊すんだなって身に染みました~。
主人公たちに最後まで共感するのはかなり難しい内容だとは思うけど、この人たちヤバイわ…って思いながらも結末を観ずには終われなかったので、視聴率が良かったのは分かる気がする。理屈として良いか悪いかは別として、やっぱり男女の愛憎劇からは目が離せないもんねー。
私的には不倫ドラマにはいるはずの若いイケメンが出て来ないのがやっぱ残念だったけど(そういうドラマじゃなかったw)、DV彼氏役のイ・ハクジュが好きなのと(「恋愛体質~30歳になれば大丈夫」で気になっちゃってw)、会計士ジェヒョクを演じたキム・ヨンミンっていつも悪い役なんだけど実は結構好きな俳優さんだったりもしたので、若手イケメン不在の割には楽しめたかとw
では最後に。
ソヌがエンディングで語っていた自分の今ついてのお話を紹介して終わりたいと思います~。
もっと早く気付けば良かったのにね…。
「いくら時間が経っても”許す”とは言えそうにない。人を許すことは人を罰すること以上に傲慢なことだと知ったから。私にできるのはただ自分の役割をこなすこと。息子の帰りを待ちながら、不確かな希望を抱くこと、不安に耐えること。全ての状況を自分で審判し責任を取る、そんな傲慢さを捨てること。それが今の私にできることだ。人生を分け合った夫婦の別れ、それは自分の体の一部をえぐり取るようなものだ。そしてその苦痛をも共有する。夫婦の間には結局、一方的な加害者も完璧な被害者もいないのではないか。私たちの過ちをかみしめ、そしてその痛みに我慢強く耐えていればもしかしたら救われる日が来るかもしれない。自分を許せる瞬間が…。」
OST
ペク・ジヨンなんかも参加してるOSTなんだけど個人的にはあまりハマれなかったので、今回はインスト曲を中心に紹介~。
まずはこのドラマ全体の悲しさがギュギュっと詰まってた気がする「Endless Story」。
そして聞いているだけで嫌な予感がしてくる「Final」。先述の、義母の入院先のシーンで流れてた曲はこれかな。
さらに緊迫感マシマシなのがこちらの「The World Where Everything Is Perfect」。タイトルとのギャップが凄いの~。
ジェヒョクのセリフ「男は二種類しかいない。浮気する男とそれがバレる男」には失笑w