韓国映画「戦と乱」の作品情報・あらすじ・感想

さて今日はカン・ドンウォン主演の映画の紹介だよ~。やはりドンちゃんはイケメンだったし、なによりパク・ジョンミンがすごく良かった。かなり久しぶりに見たけど、男前に進化してた!

目次

作品情報

  • 邦題:戦と乱
  • 原題:전,란
  • 英題:Uprising
  • 公開:2024年
  • 上映時間:128分
  • 日本国内配信:Netflix(2024.10現在)

予告編

あらすじ

李氏朝鮮王朝、宣祖の時代。

ある事情により、主人の屋敷から逃亡していた奴婢(奴隷)チョンヨン(カン・ドンウォン)は屋敷に連れ戻される。

幼い頃にこの屋敷に連れて来られたチョンヨンは、主人の息子であるジョンニョ(パク・ジョンミン)の小間使いとして剣術の相手をしながら育ち、2人は親友でもあった。

一方その頃、朝鮮の地に倭寇が襲来。

倭寇を恐れ、王宮を捨て我先に逃げ出した王に対して、民からの不満は募り、各地で世直しのための暴動が起きる。
王の警護につくジョンニョは、民を斬り捨てながら王と共に都を去るが、チョンヨンはその地に残った者たちと力を合わせて倭寇と戦うことにする…

かつて身分を超えた親友だった男たちの、憎悪と友情を描いたアクション時代劇です。

評価(momoruruが勝手に採点♪)

momoruru

総合評価 88点

主人公2人の魅力にどっぷりハマりたい時代劇アクション!
長めの剣を全力でブン回す迫力のある殺陣はカッコ良かった。
しかし、差別の描写がなかなか辛いのと、やや散漫なストーリーで主人公たちの友情物語に集中できなかったのが少し残念。

感想

主人公たちの魅力に浸る映画

この映画の時代設定は、李氏朝鮮時代の第14代国王である宣祖の時代。

主人公となるのは、カン・ドンウォン演じる奴婢チョンヨンと、パク・ジョンミン演じる両班の息子ジョンリョ。かつては身分の差を超えた友人であった彼らが、やがて剣を交えるまでに憎み合う様子を「戦・争・反・乱」の4つのテーマで描くアクション史劇です。

※血しぶきが飛び交う映像も多めなのでグロ注意※

見終えた感想を一言でいうと…
2人の主人公に魅力を感じた映画だった。

まず1人目の主人公は、長身ですらりとした姿に鮮やかな青の衣を纏った「サッパリ系」のチョンヨン(カン・ドンウォン)。混乱の世に生まれ、良人から突然奴婢になるという奇異な人生を辿って、世の辛酸を舐めてきた男だけれど、彼の話し方や生き方にはいつもどこかロマンを感じる。緩急を効かせた大きくて鮮やかな剣術も印象的。(ちなみにカン・ドンウォン現在43歳なんだそうけど、今もやはりイケメンです…w)

そして2人目の主人公は、温厚そうで髭も似合う「コッテリ系」のジョンリョ(パク・ジョンミン)。両班の息子という恵まれた環境に生まれながらも、その優しさが仇となり武科試験に苦戦しては父に叱責され、ようやく官職に就けば暴君に翻弄される人物。

彼らのこの対比は興味深かった。

特にこのジョンリョは注目すべきキャラクターで、彼はいくつかの事件を経て、性格や生き方を変えていくんだけれど、ストーリーが進むほどに、若かりし頃の彼とは目つきもまでも変わっていく。
この変化を見事に演じてるパク・ジョンミンは流石だった!やはりこの人、すごい俳優だわ~。

そんな主人公たちの魅力もさることながら、アクションシーンにもかなりの見ごたえあり!
この映画の殺陣シーンは、スピード感も残しつつ、全体的にやや大振りなのが特徴だと思う。剣術の凄さというよりも、怒りを宿した剣で全力で振り下ろす一刀に迫力を感じた。

ストーリーでは時系列の表現がやや分かりにくいものの致命的というほどではないし、CGも使われた奥行きを感じる映像も美しくて、映画全体としても十分見る価値のある作品に仕上がってた!

ストーリーはやや散漫な印象も

この映画はひたすらに身分差別を描き続けているのも特徴で、これは、見ていて決して気分の良いものではなかった。

王が民を蔑み、両班は奴婢を蔑み…
身分の高い者たちは、身分の低い者たちを理由もなく傷つけて、命さえも奪うのに、何のためらいも何の罪悪感も持ち合わせていない。しかも勧善懲悪のストーリーではないので、彼らがそれを反省する機会は訪れそうもなく…ただひたすらに辛いだけの描写が多かった。

そして中盤以降、ストーリーを複雑にしていくのは、倭寇の存在。

日本では倭寇というと、中国大陸や朝鮮半島の沿岸部で活動していた ” 海賊 ” のようなイメージが強いと思うんだけれど、この映画で倭寇軍は漢陽に到達しているので、ここでいう「倭寇」とは、「文禄・慶長の役」と呼ばれる豊臣秀吉の朝鮮出兵のことらしい(日本からの侵略は全て倭寇と呼ばれていたのだと思われます)。

この倭寇軍の「小西隊の先鋒隊長、吉川玄信」という人物が3人目の剣士として登場するのだけど(恐らく架空の人物)、韓国における倭寇の描かれ方は大抵酷いという私の予想に反して、この吉川玄信は期待値を遥かに上回る活躍を見せるのよ。

momoruru

この続きはネタバレありますのでご注意を~

最終的に吉川は朝鮮王朝の官軍として登用されるという展開まであり、しかもクライマックスとなる海辺での戦闘シーンでは、主人公であるチョンヨンとジョンリョの死闘に、なんと吉川も参戦!まさかの三つ巴の戦いに~!

(それもそのはずというか、この吉川を演じたのは「ザ・グローリー」のチョン・ソンイル。出演時間が短いわけはないものね…)

吉川という人物は、日本独特の甲冑スタイルや戦法からしても、かなり特徴的だったし、強く賢く魅力的な人物ではあったんだけど、彼の魅力を描けば描くほどに主人公たちの存在感が薄れがちに感じてしまったかも。なにしろ、主人公であるチョンヨンとジョンリョの対決は2回であったのに対し、チョンヨンと吉川は計3回も対決しているわけだし。

更に言うと、チャ・スンウォンが演じた暴君である王は圧巻の好演だったけれど、登場回数が多く、景福宮再建の戯言はしつこいような気もしたし、また、登場人物が多い割に、顔を覚えた頃には次々に殺されてしまい、把握が難しかった。

重要キャストや重要人物の多さのせいで、主人公たちへの集中力が薄れる傾向はあった気がして、そのせいでストーリーがやや冗長になりがちだったかなと。

むしろ私が見たかったのは、奴婢として生きねばならなかったチョンヨンの視点であったり、変化していくジョンリョの心境という、主人公2人の葛藤で。

チョンヨンが武科試験の身代わりを志願したのはどんな感情だったのか?王宮が焼け落ちた後に倭寇と戦ったのは免賤のためだったのか?
また、実直そうなジョンリョが、政治を揺らすような助言を王に述べたり、吉川を官軍に入れるほどの危険を冒したすまでの気持ちの変化は?

その辺りをもう少し掘り下げて欲しかった気はしたかな。

2人の友情を描き切った後に待っているのは、ちょっと恐ろしいエンディング。
倭寇が隠した宝箱だと思って大事に運んできた箱の中身が、全て塩蔵された鼻だったという…朝鮮出兵の際に塩蔵された鼻を朝鮮から持ち帰った話は実話とされているものなので…なかなか強烈なインパクトのあるエンディングでした。

真面目なシーンでの「ちゅ」は避けたい…

余談ですが…、チョン・ソンイルの日本語が上手でびっくりしたんだけど、吉川という人物が重い役だったからこそ、彼の「つ」の発音が気になってしまって…

韓国人にとって日本語の「つ」の発音が難しいのはよく言われることで、「つ」が「ちゅ」の音になりやすいんだよね(韓国語だけはなく「つ」という音自体が存在しない言語は多いので、日本語の「つ」はそもそも難しい音なのです)。

ただ、日本人にとって「つ」が「ちゅ」に変化するのは、なぜか可愛く感じやすいもの…。そしてそれが武将が使う言葉として出てくると、いつも以上に違和感が強めというか、「あやつ」が「あやちゅ」になっちゃったり、「つるぎ」が「ちゅるぎ」になっちゃうのは、ちょっと可愛くなり過ぎちゃってたかな!?
気にしないように努力してたけど、やっぱ気になっちゃったかも…。
「つ」は大事です。

momoruru

キム・ヨンデがカン・ドンウォンに似てるってよく言われるけど、本当に同じ路線な気がする~。え、親戚とかじゃなくて?w

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