もうすぐ9月だっていうのに全然涼しくならなくて…35度が普通に感じちゃう。慣れって怖いね。
さて今日は「イルタ・スキャンダル」のチョン・ドヨンが本格アクションに初挑戦したことで話題の映画を紹介してみまーす。(「メモリーズ 追憶の剣」は本格アクションにはカウントされなかったのかな?という疑問は残るけど…)
作品情報
- 邦題:キル・ボクスン
- 原題:길복순
- 英題:Kill Boksoon
- 公開:2023年
- 上映時間:137分
- 日本国内配信:Netflix(2023.8現在)
予告編
あらすじ
評価(momoruruが勝手に採点♪)
総合評価 89点
殺し屋としての腕は超一流だが、思春期の娘の子育てには苦戦してばかりの母親ボクスン。そんな彼女がある事件をきっかけに窮地に立たされていくアクションノワール。
細かく計算された斬新な演出の数々と、ボクスンが垣間見せる少女のような魅力から目が離せなかった~!
エンディングには正直戸惑ったけど、全体の雰囲気はかなり好きw
感想
この雰囲気、嫌いじゃないぞw
最初っから謎の日本語で始まるこの映画。しかも関西弁。え?もしかしてファン・ジョンミン?!
線路沿いの橋の上で、日本刀VSスーパーの斧で戦い始めるおじさんとおばさん。しかもホテルの清掃員姿とバスローブ姿の対決。
もうコレどういうことなの~!?全然展開が分からん~~!ww
主人公は殺し屋だし、クールで残酷で血だらけで、完全にクライムアクションどっぷりノアールって感じの流れなのに、ストーリーに思春期の娘との関係に悩む母親をぶっこんでくるという斬新さ!
しかも中盤に性的マイノリティの話が入って、最終的にはメロドラマに行きつくなんて、もう~!!
チョン・ドヨンとソル・ギョングが共演するからには、ストーリーもありきたりってわけにはいかないのかもしれないけど…何をどうしてこうなっちゃうんですかねぇ…???
と思いつつ見てたけど…ただ、私はこの雰囲気かなり好きだった!!
「伝説の殺し屋」と「女子高生を持つお母さん」っていう2つの顔を持つ主人公ボクスン。
殺し屋業界で一時代を築いたボクスンだけど、有能な後輩の台頭で殺し屋としての自分の限界を感じさせるような描写が入り、そしてまた、上手く両立してきたはずの母親業でも思春期を迎えた娘との関係性に行き詰まっている描写も入る。
そしてどうやら想像以上に娘の問題は深刻そうで…
ボクスンは殺し屋を引退して母親として生きていくのか…
思い悩むボクスン…っていう流れになるかと思いきや、彼女の場合、全然そうはならないの~!
この続きはネタバレありますのでご注意を~
有能な後輩を躍起になって仕留めようとするし、やりたくない仕事があれば後先考えずに放棄するし、相手が誰であっても一線を超えた相手はためらわず殺し、最も信頼する上司にも刃を向ける。この女は一筋縄ではいかない。
一番衝撃だったのは、複数の仲間から寄ってたかって命を狙われた食堂のシーン。ボクスンは切り付けられたナイフを必死で避けながらも…うっすら笑ってるの。
この人は、父親の下にあった椅子を蹴飛ばした少女だったあの頃と、何ひとつ変わってないんだ…!
彼女の生き様を、彼女の美学を、鮮明に描き出したストーリーとして観始めると、一気に面白くなっていく映画だった!
まさかメロだったとは…
だけどこの映画、終わり方が私には衝撃的過ぎた~!
だってMK代表のミンギュがボクスンに言った最後の言葉は…
「考えてみたんだ
どちらのほうが苦しいかと
俺がお前無しで生きることと
お前が娘にこの決闘を見られることと」
んんん~?
そっち…なの~???
ボクスンとミンギュの最終決戦と思いきや、これってミンギュの愛の告白だよね…?
ノアールかと思いきや、最後はどっぷりメロだったのね!!
(娘こそがボクスンの弱みのはずで、娘が人質にされるのかと思いきや、代表の部下はタブレット置いて帰っちゃってたしね…愛深いわ…)
ミンギュとの戦いからの帰り道に、娘に自分の仕事を見られたボクスンが(恐らく)初めて神に祈るっていう涙のシーンが、このエンディングの山場なんだと思うんだけど…
帰宅してみると娘はいつもと変わらない素振りで…だけど今まで閉ざしていた部屋のドアを開けておきたいと言って…振り返ったボクスンは少し笑っていて…
そのままエンドロール!!!
えええ…ここで終わるの…!?
やめてまだ終わらないで~!!って思っちゃった。考えてみたら最初のシーンからっからぶっ飛んでたけど、エンディングまで衝撃的な映画だったなあ。
娘ちゃんの殺し屋の才能をうかがわせちゃうエピローグも面白かったけど…さすがに続きが見たいな~。「キル・ボクスン2」も作ってくれないかな~w
斬新な演出から目が離せない
ボクスンが脳内で予測演算して自分の死線を察知するっていう演出も面白かったし、殺し屋って闇社会のはずなのにカルテル作って会議してたり、殺し屋たちがエンタメ会社に所属して「作品」を作ってるっていう設定にウィットが効いていて、なんというか全体的に感性が若い気がする映画だった。過去の「作品」の設定を使って訓練をするシーンなんてイマドキな会社そのものだったしw
ちなみに監督は百想芸術大賞を受賞した「キングメーカー 大統領を作った男」のピョン・ヒョンソン。ちなみにソル・ギョングの起用は「キングメーカー 大統領を作った男」と2018年の「名もなき野良犬の輪舞」に続き三作連続になるんだとか。(私は2013年のチソン主演の「マイPSパートナー」が好きw)
知的な雰囲気のソル・ギョングが繰り広げたロシアマフィアとの激し過ぎる戦闘シーンもかなり素敵だったけど(しかも愛する女と通話しながらっていうのがまたイイw)、この映画のキャストの中では個人的にはイ・ソムが良かったよ~。モデルでスタイル抜群のイ・ソムが嫌な役するの逆にめっちゃカッコイイんだよなあ。憎らしい女が上手い!それからク・ギョファンの好演も印象的だったね。
ソル・ギョングの若い頃をイ・ジェウクが演じてたのには驚いた!ジェウク忙しいのに~w そしてファン・ジョンミンはパンツ一丁だったけど、ジェウクは普通に良い役だったww
そうそう、お母さんの鞄に入っている銃を見て娘が「お母さんが国家情報院で働いてる」って勘違いするシーン面白かったなあw 殺し屋カルテルのルール破って、トップ企業の代表まで殺しちゃったら、ボクスンも娘もこの先は普通に生きてはいけないんじゃないの~?って気もしたけど、「国家情報院で働いてる」ってことにして母娘で外国にでも移住しちゃうんだろうかねw
すぐ足の腱を切ろうとすんのやめてくれ~!!見てるだけで痛過ぎるよ~!