韓国ドラマ「ジョンニョン:スター誕生」の作品情報・あらすじ・感想

新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
2025年1本目の感想は、なんだかちょっとおめでたい雰囲気のあるこちらのドラマから~。

目次

作品情報

  • 邦題:ジョンニョン:スター誕生
  • 原題:정년이
  • 英題:Jeong nyeon: The Star Is Born
  • 放送:2024年
  • 話数:12話(1話約70分)
  • 日本国内配信:Disney+(2025.1現在)

予告編

あらすじ

港町木浦の市場で、貝や魚を売って暮らす少女ジョンニョン(キム・テリ)は、市場を牛耳るチンピラたちに絡まれ、咄嗟に得意の歌を歌って追い払った。

その様子を偶然見ていた国劇の人気俳優オッキョン(チョン・ウンチェ)は、ジョンニョンの天性の歌声に驚き、自分の舞台を見に来るようにと誘う。

生まれて初めて華やかな国劇の舞台を見たジョンニョンは、自分がその舞台に上がることを想像して胸を高鳴らせる。

翌日、ジョンニョンがオッキョンの宿泊先を訪ねると、オッキョンは自分の所属する梅蘭国劇団のオーディションを受けるようジョンニョンを誘うが、母は猛反対する…

パンソリの天才少女が国劇の舞台でトップを目指し、仲間と共に成長していく姿を描いた感動の物語です。

評価(momoruruが勝手に採点♪)

momoruru

総合評価 94点

なんといっても天才女優キム・テリの演技が圧巻!
ドラマ内で披露される豪華絢爛な音楽劇も一見の価値アリ~。
ストーリーには引っかかる部分もあったけど、今年の賞レースは間違いなくキム・テリが来るんだろうなと確信したくらい、素晴らしいドラマだった。

感想

天才キム・テリを堪能

このドラマ、もうなんと表現していいのか分からないくらい、キム・テリが凄すぎた!

もうこの人、絶対的な天才なんだよね。このドラマでは19歳の天真爛漫な少女から、舞台俳優となって凄味のある演技を披露するまでを演じてるんだけど、その演技力はもちろん歌までも圧倒的で、彼女の天才ぶりに何度も魅了されること間違いなし!

先日のAPAN STAR AWARDSではこのドラマでキム・テリが大賞を受賞したそうだけど、今年の百想芸術大賞もこのドラマでキム・テリが獲っちゃう気しかしないんですけど。

今回のドラマの舞台はというと、韓国戦争直後の1950年代。主人公である19歳の少女ジョンニョンが、「国劇」と呼ばれる女性だけで演じられる韓国伝統の音楽劇の世界に飛び込んで、トップ俳優の地位を目指してスターダムを駆け上がっていくというストーリー。

その音楽劇で歌われているのは、「パンソリ」と呼ばれる、語りや身振りを交えながら歌と太鼓で物語をつづっていく伝統芸能なんだけど。このパンソリ、独特の歌唱法で聞けば聞くほど奥深さを感じるんだよね。ストーリーも後半になってくると、この味のある歌声に感情が乗って心に沁みまくりで、何度泣いたことか…。ストーリーに泣いてるのか歌に泣いてるのか分からなくなったくらい、感情のこもった歌唱は感動的だったー。

しかもね、このドラマの何が凄いかって、なんとこのパンソリ、出演女優たちが実際に歌ってるんです!
ありえる?いや、ありえないよね?ほんともうビックリ過ぎる~!

ちなみに、これ誰の歌声か分かりますか?↓

キム・テリの声です。天才かw
もちろん撮影現場で歌ってるわけじゃなく、歌声はレコーディングスタジオでの別撮りだろうけど。それにしたってあまりにも上手いから、私てっきりパンソリ名人の声で吹き替えてるんだろうと思ってて、「よくこんなに声質が似てる歌手を見つけてきたな~」って違う意味で感心してたくらい。(結構後半まで気が付かなかったし…)

キム・テリはミュージカル出身で歌の経験はあるだろうし、2021年からパンソリの練習を始めてたそうで、その努力はもちろん素晴らしいんだけど、練習すれば誰でも上手くなるものでもないはずで。努力だけじゃなく才能も凄いんだわ。

主人公ジョンニョンのライバル、ヨンソ役のシン・イェウンもJYP練習生出身だったし、歌の経験がある人を集めている傾向はあるにしても、出演者たちがこの独特な歌い方を習得するまでに相当時間かかってるはずで、このドラマだけのためにここまで…ほんと気合入ってます!

ちなみに、実は原作となるWEB漫画の時点で、主人公ジョンニョンはキム・テリを想定して描かれていたんだそう。キム・テリ現在34歳で19歳の役を演じたわけだけど、年齢とか全然超えて行っちゃうタイプなので違和感ゼロだったな。「二十五、二十一」での高校生役も違和感なかったもんなあ。

というわけで、天才キム・テリの規格外の演技も堪能できるし、女優さんたちの歌声も見事だし、豪華絢爛な国劇の舞台シーンもとっても美しいので、それだけでも十分見る価値のあるドラマだと思う!

だからみんなで止めたのに~!

原作ファンも望んでいた完璧なキャスティングだったにも関わらず、ドラマのストーリーについては原作ファンからの批判もあったみたいで。

というのも、原作では徐々に俳優として成長したはずのジョンニョンが、ドラマでは最初から天才少女として描かれていたことや、原作ではGL要素(女性同士の恋愛)が強かったけど、ドラマ化するにあたって修正を入れる必要があり、その過程で主要な登場人物を削除していたりもして、原作とは異なる展開になってるんだそう。

原作を知らない私が見た感想は、憧れの人を追いかけて上京し、ライバルたちと芸を競い合い、仲間たちと友情を育む中盤までのストーリーは良かったのに、中盤以降でストーリーをまとめきれなかった印象はあったかも。

momoruru

この続きはネタバレありますのでご注意を~

そもそもジョンニョンの人生って劇場型というか、自らの手で波乱万丈にしている感もあって、勝つ見込みのない賭けをしてみたり、敢えて危ない橋を渡っていくので「なんで~!」って思うことが多かったのよ。

兵士役なのに歌っちゃった時にも「こ、この子アカン…」って思ったけど、信頼関係もないヘラン先輩のよく分からんアドバイスを信じて喉を潰したエピソードは、どうにも共感できなかったよ。みんなで喉ダメになっちゃうよ!って必死で止めてたのに、あの子、言うこと聞かないんだもんさ~。そもそもまだ研究生なのに何をそんなに焦ってるのかがイマイチ伝わらなかった。

歌が歌えなくなってから「どうすればいいの?」って言われても、だから言うたやーん!ってなるよ。喉を大事にできない歌手ってそもそも歌い手としてどうなんだジョンニョン。

でもあの劇場型な性格って多分お母さん譲りで、ほんとこの2人は似てたー。お母さんが歌手にトラウマがあることも、娘には安全な道を歩んで欲しいのも理解できるけど、お母さんの劇場型人生に巻き込まれているジョンニョンが不憫だったもの。てゆうか、歌を失って死んだように生きてる娘を見ても、自分の意志を貫こうとした母さんだいぶ怖かったよ…。自分は親の期待に背いて夢に挑戦させてもらったのにね。

そしてストーリーの中で一番混乱させられたのは親友ジュランの存在。ジョンニョンの演技に魅了されたジュランは、ジョンニョンに友情以上の何かを感じて、更に深い仲になるはずの流れだったと思うのよ(あの時のジョンニョン完全に男だったし、キム・テリの演技に鳥肌~)。なのに、GL要素を回避したかったからなのかなんなのか、あのあとジュランがそこで急に心を閉ざしちゃうの。

それなのに、ジョンニョンと阿詐達と阿詐女の練習をしたとき「どうか私を捜して、来てくれるまでいつまでも待ってるから、必ず…」とジュランは言っていて。これはジュランが消えたあと、ジョンニョンが迎えに行て欲しいというメッセージだと思うんだけど、そもそもこの時点で2人がそこまで深い仲として描かれてなかったし、もちろん迎えにも行かないしで、なんだったんだろうあのシーン。

エンディングとなる大舞台では、逆境を跳ねのけて、最高の演技を披露してスターになったジョンニョン。潰れた声がどうして治ったのか謎だったけど…まあそれは良しとして、スターだけ爆誕しちゃったけど、未来は全く語られなかったのよね。団員めっちゃ減っちゃったし、建物も売り払っちゃって帰るとこなさそうだしで、この先どうなるのか不安な幕引きだったのも気がかり。

振り返ってみると、ジョンニョンのサクセスストーリーとしては綺麗な流れだったと思うけど、それ以外の部分は中途半端になりがちだった印象。フェミニズムにも触れそうだったのに深堀りせずだったり。特に後半のストーリーがもっと整理されてたら、更に素晴らしかったんじゃないかな~。

オッキョン先輩沼が思ったより深かったw

それはそうと、オッキョン先輩めっちゃカッコ良かったよねー。

正直舞台のシーンでは体が華奢なのと演技がフワっとしてるのとで「これぞ看板俳優!」っていう迫力は感じなかったんだけど(すみません)、日常シーンではあのフワっと感が逆にカッコ良くて!心の中は闇深いキャラなのに、不意に微笑むし、やたらとボディタッチ多いしさ、あの掴めなさが素敵すぎる~。

女性が演じる二枚目な男役って、女性目線で素敵だなと思う部分だけが詰め込まれてるので、本物の男性以上に素敵なんだよね。

オッキョン先輩役のチョン・ウンチェは38歳なのもあってか、天才(キム・テリ)との掛け合いでも、落ち着いた大人の余裕が垣間見えてるとこも好き~。最初はフーンて感じだったのに、だんだんハマっていって、後半なんてオッキョン先輩が出てくるだけで「キター!」って盛り上がったくらい楽しかったw

気が付けば今日も長々と書いちゃって…そろそろまとめねば。

結局何が言いたかったかっていうと、キム・テリ存在感はハンパないってことに尽きる!

キム・テリって実はちゃんとしたテレビドラマって「ミスター・サンシャイン」「二十五、二十一」「悪鬼」とこのドラマの計4本しか出てないんだって。映画「お嬢さん」で注目されたせいも大いにあるけど、なんかもっとたくさん出てた気がするくらい既に存在感あるよね。

キム・テリの大活躍で唯一困ったことがあるとすれば、キム・テリが出ちゃうとそれはもうキム・テリの作品になっちゃって、共演者が印象に残らないことかも。「ミスター・サンシャイン」のイ・ビョンホンも「二十五、二十一」のナム・ジュヒョクも正直どんな演技だったかあんまり覚えてないもの。

今回のドラマでも、シン・イェウンが本当にめっちゃくちゃ頑張ってたんだけど、正直周りが霞むくらいの存在感がキム・テリにはあると思った。あの天才と張り合って存在感を残せる役者は果たしているんでしょうか…。

OST

全12話を見終わる頃には、その魅力にすっかりはまってしまった国劇中の音楽たちをちょこっと紹介~。メイクもかなり独特で、どこか宝塚に通じるものがあったし、舞台シーンは特に面白かった。

こちらはジョンニョンのTVデビュー曲「목포의 청춘」ですw

momoruru

パンソリの歌い手のことを「소리꾼(ソリクン)」と呼ぶと知り、「Stray Kidsのソリクン(という曲があります)ってこれのことだったのね!」とやっと謎が解けました。ありがと。

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