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「誰だって無価値な自分と闘っている」感想|生きづらい大人たちの心の痛みを丁寧に描くヒューマンドラマ【あらすじ・評価】

しばらく浸っていたせいで、感想を書き始めるまでに時間がかかっちゃったこちらのドラマ。

前評判通りとっても繊細で素敵なヒューマンドラマに仕上がってた!
それでは今日も感想を書いていきまーす。

目次

作品情報・配信サービス

  • 邦題:誰だって無価値な自分と闘っている
  • 原題:모두가 자신의 무가치함과 싸우고 있다
  • 英題:We Are All Trying Here
  • 放送:2026年
  • 話数:12話(1話約分)
  • 動画配信サービス:Netflix(2026.6現在)

あらすじ

映画監督志望だが、20年もデビューできずにいるドンマン(ク・ギョファン)。

大学時代からの映画仲間で、通称「8人会」のメンバーたちは、ドンマンを除いて皆が成功した。

映画仲間たちの集まりには必ず顔を出すドンマンだが、どこへ行っても映画の批判ばかりを一方的にまくしたるので、かつての仲間たちからも疎まれる存在だ。

映画製作会社でプロデューサーを務めるウナ(コ・ユンジョン)は、社内でドンマンの陰口を耳にして胸を痛める。

帰り道、ドンマンとウナは偶然出くわす。ドンマンの話を聞いているうちに、ウナはドンマンの脚本を読んで見たいと思い始める…

生きづらさを感じる男女が出会い、それぞれの価値を見出そうとするヒューマンドラマです。

どんな人にオススメのドラマ?

・ヒューマンドラマが好き
・静かで深い感動を味わいたい
・挫折を経験したことがある

予告編

評価

総合評価 93点

心の痛みを巧みに描くパク・ヘヨン作家の魅力が満載の最新作!
個性派俳優ク・ギョファンをはじめ、実力派俳優たちの演技も素晴らしくて没入感高め。
誰もが抱えている心の傷や辛い日々の記憶に、登場人物たちの繊細なセリフたちが優しく寄り添ってくれる、まさに癒しのドラマだった。

感想(ネタバレなし)

パク・ヘヨン作家の魅力を堪能できる最新作

ク・ギョファン&コ・ユンジョン主演の、2026年大注目のヒューマンドラマ。

なぜこのドラマがこんなに注目されていたかというと、脚本が「マイ・ディア・ミスター」や「私の解放日誌」のパク・ヘヨン作家だから。生きづらさを抱えた等身大のキャラクターを丁寧に描く人気作家の新作とあって、放送前からかなり期待されてたんだけど、膨れ上がった期待を裏切ることなく、今作も素晴らしい内容だった。次の百想芸術大賞でも、またテレビ部門脚本賞を獲れるんじゃないかな。

ちなみに演出は「椿の花咲く頃」や「サムダルリへようこそ」などで知られるチャ・ヨンフン監督。温かな情景を映し出すのが得意な監督だけに、間違いなく良作に仕上がってまーす。

このドラマの主人公は、映画監督を夢見る男ファン・ドンマン。自ら執筆した「天気をお作りします」という脚本で映画を撮ることに強いこだわりを持ち、20年もの間、デビューも出来ずに燻り続けているという、業界ではある意味有名な男。

ケータリング会社と予備校教師のバイトを掛け持ちしているけど生活に余裕はなく、古アパートに兄と同居中。学生時代からの映画仲間たちは皆が成功したのに、ドンマンだけが今もくすぶったまま。仲間と集まっても映画の批判と自虐ばかりを大声て喋り続けるので、周囲もすっかり呆れている。

そしてもう1人の主人公は、誰にも言えない幼少期のトラウマがある映画制作会社の若手プロデューサー、ピョン・ウナ。脚本の良し悪しを見抜く能力には定評があり、忖度しない物言いでかつては社長の寵愛を受けていたけど、社長よりウナの存在の方が目立つようになったせいで、今では冷遇されている。

映画業界のあちこちで陰口を言われるドンマン。しかしウナはなぜドンマンがそうするのかが分かる気がする。そんなある日、ウナがドンマンの脚本を読むことになったことからストーリーが動き出して…。

劣等感と嫉妬で壊れそうなドンマンと、トラウマに心を縛られたままのウナは、お互いを支えてそれぞれの価値を見出すことができるのか、というお話。

JTBC公式より

いわゆる「不幸な人」にフォーカスしがちなパク・ヘヨン作家のドラマって好き嫌いが分かれるので、人生最高のドラマになるほど深くハマる人と、そこまでではないかな?という人に分かれる印象はあるものの(そして私も正直言うと後者だったけど)、どのレベルまでハマれるかは別としてもストーリーの良さは確実に伝わってくるはず。

そして彼女のドラマの特徴は、作品の登場人物たちに、「あの時すごく辛かったいつかの自分」が重ねて見えることだと思う。幾層にも重なり合った丁寧で繊細なセリフによって、生きづらさを抱える登場人物が、ゆっくりと励まされていく姿を見ることが、自分を重ねて見ている人たちの癒しになることが魅力なんじゃないかと。

人によって重なる部分が微妙に違うから、「どこが良かった」とはっきりと説明するのが難しいタイプの作品だと思うんだけど、たくさんの登場人物、様々な描写、色んなセリフから、それぞれの感性でひしひしと癒しを感じられるような、そんなドラマだと思ったよ。

序盤の数話はなかなか暗いシーンが多いし、おそらく多くの人がドンマンの奇行(?)に嫌悪感を抱くんじゃないかなと思うんだけど、それは全て後半のストーリーに向けて必要な描写なので…どうか序盤は挫折せずに我慢して見ていただければ、見終わるころには心に温かいものが残っているはず。そして不思議とドンマンのことが好きになっているはずw

世界観に没入できる俳優たちの名演技

ストーリーも申し分なく素晴らしいんだけど、パク・ヘヨン作家の繊細なストーリーを演じるために集められた俳優たちもまた素晴らしくて、演技でも魅了されちゃうところがまた凄かった!

主人公ドンマンを演じるのは、特徴的な声と個性溢れる演技スタイルで、一度見たら忘れられない俳優ク・ギョファン。

韓国ドラマファンからするとドラマ「D.P」の印象が強いんだけど、元々は映画界の人で、監督から脚本までこなす多彩な俳優さん。長くインディーズ映画の活動をしてきたんだけど、その実力が認められた現在では、メジャー映画やテレビドラマにもひっぱりだこ中~。

ク・ギョファン自身も、俳優としてその名が知られるようになるまで10年近くかかっている苦労人。映画監督という経歴を考えても、このキャスティングはまさに必然。長いセリフの中でテンションが急降下するシーンとかもあったけど、上手いのは勿論かなり独特なので見てて面白かったな。

そしてヒロインのウナ様役には、デビュー以来ヒット作にしか出ていない気がするコ・ユンジョン(どうやって選んでるんだろう?w)。相変わらずほぼノーメイクでも女神のように美しくて、思わず崇めちゃうの分かるし、なりたい顔1位なのすごく共感。

ドンマンの元親友ギョンセ役には、私も好きだけどみなさんもきっと大好きなオ・ジョンセ。この人がいると大船に乗れる安心感!その妻ヘジン役のカン・マルグムもなるほどな配役だったし、あっけらかーんとしてそうで根は優しいミラン役がハン・ソナなのも超納得w とにかくみんな良かった。

個人的にはパク・ヘジュンの演じてた、ドンマンの兄ジンマンが一番インパクトあった。身なりに構わない溶接工で、無口で酒浸りの大男。キレるポイントもよく分からない。この冴えない大男が、かつては業界を騒がせるほどに期待された詩人だった、っていう設定も流石はパク・ヘヨンなんだけど、このギャップと葛藤まみれの人物を演じ切ったパク・ヘジュンが凄かった。だってパク・ヘジュンって「夫婦の世界」で「恋をするのは罪じゃないだろ!」とか言ってたあのゲス不倫男役してた人なのに、まるで別人だった。

詩的で繊細なセリフを多用してやや分かりづらくなりがちにもなるパク・ヘヨン独特の世界観だったけど、演技を任されてる俳優たちがきっちり仕事してくれるので、こんなにすんなり没入できちゃうんだろうね。

momoruru

この続きはネタバレありますのでご注意を~

感想(ネタバレあり)

皆さんはどのシーンにハマりましたか?

私の周りでこのドラマを見てた何人かに感想を聞いてみたんだけど、意外にもみなさん、ハマったシーンが結構違うみたいで面白かった。やっぱりパク・ヘヨン作品は人によってハマるポイントが微妙に違うのもあるし、どのシーンのどのセリフもグッとくるものばかりだからこそ起こる現象なのかも。

ちなみに私がグッと来たシーンを絞ると以下の2つ!

6話終盤、感情ウォッチのXIMFIT社に呼び出されたドンマンが、不明と表示されていたウナの感情に「助けて」と名前を付けるシーン。(英語字幕だけど該当シーンがあったので貼っておきます

お互いの辛さを知った2人がお互いを思いやる場面としての感動も勿論あるんだけど、それを聞いたウナが、あの時の自分は助けて欲しかったんだと気が付くシーン。

ウナはたぶん、幼少期のトラウマから自分の感情に鍵をかけていて、自分の感情に気が付くことが苦手だから感情ウォッチを使用してるんだけど、彼女が一番知るべきだった感情をドンマンが遂に見つけて、ウナの心が一気に解放されていくシーンだと思えたからとっても感動的だった。

そして2つ目のシーンは、最終話中、ドンマンの映画のクランクイン前に、ドンマンが挨拶する中での回想シーン。兄ジンマンのセリフなんだけど…

全てのストーリーが存在の叫びなんだ。
こんなに苦しく存在し、
悲しく存在し、
憂鬱に存在し、
可笑しく存在する。
せいぜい100年でみんな消えてしまうのに。
確かに存在していたのか?
その疑問を封じるため夢中でストーリーを書く。

JTBC公式より

どんなに幸せでも、どんなに辛くても、人間って例外なくせいぜい100年以内に消えちゃうんだよね。それなのに、なんのために存在しているの?なぜ自分は生まれてきたの?なぜこんなに苦しくて、悲しくて、憂鬱で、可笑しいの?

いずれ消える存在だけど、今は確かにここに存在していて、辛く苦しくても、それは無意味じゃないはずだと、少しでも意味を持たせたいから、だからみんな必死で自分の価値を見出そうと闘っているんじゃないか。

そんなことを改めて感じて、そう思うことで今の自分が肯定されたような、「ちゃんと分かっているよ」って励まされるような、そんな気持ちになれた素敵なドラマだった。

OST

一番好きだった曲はこちら。ポール・キム(Paul Kim)の「괜찮을거예요(Everything will be happy)」。歌詞もこのドラマのことが書かれているようでとっても沁みます!

少女時代テヨンの歌う「조각(Pieces)」はウナのテーマのような、優しくて落ち着く美しいメロディ。

チェ・ユリの「On a Gentle Breeze(바람이 참 좋은 날에)」。曲名を直訳すると「風が気持ちよい日に」という、ウナが見つめるドンマンを描いたような曲だった。

4人組ボーイズバンドLUCYの「Starlight」。

NERD CONNECTIONのソ・ヨンジュが歌う「나란한 밤(Parallel Night)」は脱力感のあるボーカルが心地よいドラマの後味にぴったりな曲。

ラストはキム・ミンソク「내가 있을게(Be with U)」です。

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momoruru

ドラマだと監督と脚本は別の人がやってるけど、映画監督って脚本も書く人が多いから大変だよね。

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