韓国映画「ワンダーランド:あなたに逢いたくて」の作品情報・あらすじ・感想

真田広之のインタビュー聞いてたらめちゃくちゃ「SHOGUN 将軍」が見たくなってきてる~。エミー賞18冠はさすがに見ておきたくて。現在ディズニープラス独占配信だそう。

でもその前に、少し前に公開になった話題の映画を見たので、早速感想を書いてみま~す。

目次

作品情報

  • 邦題:ワンダーランド:あなたに逢いたくて
  • 原題:원더랜드
  • 英題:Wonderland
  • 公開:2024年
  • 上映時間:115分
  • 日本国内配信:Netflix(2024.9現在)

予告編

あらすじ

死などによってこの世を離れた人を人工知能によって再現する「ワンダーランド」サービス。

余命宣告を受けた中国人のシングルマザー、バイ・リー(タン・ウェイ)は、残される幼い娘のために、ワンダーランドのサービスを契約する。

ワンダーランドの開発者ヘリ(チョン・ユミ)と、ヘリの後輩であるヒョンス(チェ・ウシク)は、ワンダーランドの中に、バ・イリーの希望通り、考古学者の姿をしたバイ・リーのAIを作成するのだった。

一方、キャビンアテンダントのジョンイン(ペ・スジ)は、宇宙ステーションにいる恋人のテジュ(パク・ボゴム)とビデオ電話をするのが日課だが…

仮想と現実の間で揺れ動く、様々な人々の想い描くSFファンタジーです。

評価(momoruruが勝手に採点♪)

momoruru

総合評価 80点

豪華キャストによるSFファンタジー映画。
亡くなった人のAIとビデオ通話できるサービスは新鮮だったものの、ストーリーで扱う幅を広げ過ぎたか、やや焦点の定まらない印象に。
こんな近未来は待ち遠しいような、少し怖いような…

感想

重心の置き場に悩むストーリー

ペ・スジとパク・ボゴム共演なら見ないわけにはいかない…!と思ってたこの映画。
なによりパク・ボゴムの新作見るのってかなり久しぶりだから楽しみで。

でも見終わった後の率直な感想は「思ってたのと違った…」って感じかも。

まず驚かされるのは次々に登場する有名俳優たち。ペ・スジ&パク・ボゴムのほかにも、タン・ウェイ&コン・ユ、チェ・ウシク&チョン・ユミという錚々たる顔ぶれ。

舞台は近未来の韓国。
仮想空間であるワンダーランドのサービスを通して、それぞれの登場人物たちの愛や葛藤、未来への希望を描いていくというSFファンタジー。

亡くなった人のAIとビデオ通話できる未来、というのは新しい着眼点でハッとしたけれど、テーマ自体は、既にハリウッドなんかで何度も見ている気がする「リアルとバーチャルの交錯」を描いているお話。眩い光や砂嵐などの抽象的な表現や、画面がチラつく接続不良の演出なんかも既視感があって、映像的にはあまり新鮮さを感じなかったかな。

タンウェイが演じるシングルマザーとその娘の物語と、スジとボゴムが演じるカップルの物語が並行して描かれていくんだけど、スジとボゴムへの関心以上に、やはりタンウェイの存在感があまりにも圧倒的過ぎて…。

やっぱりこれはタン・ウェイ主演の映画なんだろうなーと(ちなみにこの映画の監督は、タン・ウェイの夫であるキム・テヨン監督です)。ストーリーにおける彼女の役割のせいもあるんだろうけど、タン・ウェイの俳優としての格の違いを見せつけられるような…。

そうなってくると逆に、スジとボゴム、ウシクとチャン・ユミっていう有名俳優を起用してることが、逆効果になっているような気もして。どこを主体として見るべきなのか、焦点が定まらない原因になっている気もした。

そして、それぞれの登場人物がこの仮想空間のAIについて様々な問題提起をしていくんだけれど、その深さと量を考えると、とても2時間で拾いきれる内容をではないのもあって、この映画では問題を提起するのみ。そこから先は、映画を見た人たちが考えて…という提案型の映画に終始している感もあり。

だから映画を見終わったときに「考えさせられる」反面、「それで何が言いたかったんだろう?」と混乱してしまったのかもしれない。

もういっそタン・ウェイ単独主演にするか、もしくは最後までスジで押しきるか。どっちにしてもメインストーリーを絞ってそちらに比重を置いた方が、ストーリーに厚みが出るんじゃないか…など余計なことを考えながら見てた(そう単純な話ではないんだろうけどね)。

momoruru

この続きはネタバレありますのでご注意を~

ところですごく気になったのが、昏睡状態から目を覚ましたボゴムは脳に後遺症が残っているようなんだけど、それが何なのかはっきりとは表現しないこと。

たとえ偽物でも安定定した愛情をくれるAIの方が、現実世界で後遺症を抱えた本人より勝ってしまう…という葛藤を描くために、彼の後遺症を描くのは必要なことだと思うのに、一体何を遠慮しているんだろう?くらい控えめな描写。

例えば、記憶障害、パニック、暴力など、分かりやすい症状っていくらでもあるはずなのに、火傷、夜のパーティ、火の不始末…根本的な問題は何なのか?一見しては分からないように演出するのはなぜなんだろう。許容できるのものなのかどうかの判断すらさせてもらえない。これが俗にいうリアリティ?ちょっと疑問だったなあ。

そして、この映画では「故人のAIにも意志がある」という設定なんだけど、あくまでそれは故人を模して創り出されたAIの中にある意志。つまり故人の意志とは根本的には違うもの。仮にAIが模倣している故人の感情が、遺族にとって望まない方向に進んだ場合、生前の故人への冒涜にもなりうるわけで。

そんな危険を帯びたAIを、母を失った娘に与えてしまって大丈夫なんだろうか?まだ幼い娘は、生前の母と、AIの母に、明確な区別が付けられるのか?見ていてすごく不安に感じた。

「死」とは多分もう二度と会えないことで、その「死」という事実を受け入れた上でAIを利用するなら、それも良いことのような気はするんだけど。

でも、人間の認知は見たいものだけを見るようにできているから。画面の中から話しかけてくる故人と会話しながら、その人の「死」を実感し続けることはできるんだろうか。映画の中で孫のAIに貢いでいたおばあちゃんも描かれていたけれど、私もああならない自信なんて無いなあ…。

momoruru

それでも宇宙飛行士のAIボゴムとテレビ電話できるサービスには加入したい…w

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