ようやく朝晩は涼しくなってきたし、そろそろ外で運動しなくちゃなあ…と思い始めた今日この頃。
今年の夏はホントに暑すぎた~!「熱中症になったらどうしよう」とか言いながら(半分言い訳)全然運動しないでいたら、知らぬ間に体重増えちゃったので…やばいやばい。
作品情報
- 邦題:人間レッスン
- 原題:인간수업
- 英題:Extracurricular
- 放送:2020年
- 話数:10話(1話約50分)
- 日本国内配信:Netflix(2023.9現在)
予告編
あらすじ
評価(momoruruが勝手に採点♪)
総合評価 93点
軽い気持ちで犯罪に手を出した若者が、決して抜け出せない深い深い社会の闇へと引きずり込まれていく傑作サスペンス!
予測不可能なストーリーは秀逸で、若手からベテランまで層の厚いキャストの熱演も圧巻。
残酷な描写はあるけれど、サスペンス好きならぜひ見て欲しい話題作!
感想
久しぶりに出会った傑作!
このドラマ、びっくりするくらい面白かった!久々にシビれた!
実はパク・ジュヒョン目当てで見始めたんだけどね。
私、パク・ジュヒョンの演技がかなり好きで、初めて見た時「うわあ…バケモノ級の女優さんが現われたぞ!」ってビビったくらい。飛びぬけて超美人とかモデル並みにスタイルが良いというわけじゃないと思うんだけど、彼女の演技はとにかく圧が強くて、一度見たら忘れられない女優さん。
そんな彼女の現在の代表作とも言われるこのドラマ、ぜひ一度見ておきかったのよね。そしたらほんと、見ておいてめっちゃ良かったやつだった!
내 동년배들 다 규리언니로 모신다…!🙇 ♀
— Netflix Korea|넷플릭스 코리아 (@NetflixKR) May 13, 2020
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学園ものサスペンスなんだけど、学園ものとは言えないくらいストーリーは重く深いし、映画のようなスピード感もあって、他の学園サスペンスとは一線を画す、今までにないタイプのドラマかと。
何気ないシーンも何かのメタファーだったり、必要な要素だけできっちり作られてるので、展開の全てに過不足がない感じ。ここまで引き込まれる完成度の高いドラマは久しぶりで、溜息がでるほど見入っちゃった~。
いつも期待以上の展開が待っている…
他のドラマと何が違うかって、まず恐ろしいのはこのストーリー!
普通ならストーリーが、A→B→C→Dって順番に進んでいくべきところを、この脚本の書き方は全然違うのよ。A→A’→C”→X?!ってなる感じ…?(あれ?これ伝わるでしょうか…?w)
見る人が期待する方向には絶対に進まないんだけど、単純に先が予測できないから面白いってだけじゃなく、予測できなかった先に用意されてる展開がいつも期待以上で、何度もアッと言わされちゃう感じ。
主人公ジスは現状を打開するために必死で戦っているんだけど、やっと問題が片付いたと思った先は、もう一段階深い闇だったりするっていう…階段を上ってるつもりがいつのまにか下ってるような ”ベンローズの階段” みたいな展開で、もはやトリックアート的作品なのよ。
しかもこの脚本は登場人物に多くは語らせないの。そこがホントめちゃくちゃクール! 現場の状況や音、登場人物の表情や行動で表現している部分が多いので、突然に思える展開や微かな変化にも意味を感じながら見ていくと、どんどん面白くなっていくはず~!
ちなみに私は、第2話の横断歩道のシーン。ギュリが犬印のスマホ(w)を持っているんだと理解したジスが、ギュリに駆け寄って行ったと思ったら、なぜかそのままギュリに投げ飛ばされてしまう…っていうとこで完全にこのドラマの沼にハマったよw (このシーンだって言葉での説明一切ないのがまたカッコ良いんだけど)
こんな面白い脚本を誰が書いたの~?って調べたらチン・ハンセ…うーん、聞いたことないぞ?ということで調べたら、どうやら「ヒーラー」や「王は愛する」を書いた有名脚本家ソン・ジナの息子さんらしいです。親子で脚本家なんて珍しい!
そんでもってこのドラマの監督は、私の大好きな女版ゴルゴ13(違うw)こと「マイネーム: 偽りと復讐」を撮ったキム・ジンミン監督~!残酷で血なまぐさいけど、どこか乾いた感じのする暴力の描き方とか、簡素で静かな存在の中にある情緒を描くのが上手いな~って思ったし、やっぱり好きだったわー。
若手俳優の熱演に唸った~
そしてもう1つの良かったポイントはこのキャスト。
ヒロイン、ギュリ役のパク・ジュヒョンは、もちろん期待通り上手かった!なんかね、目が座ってるんだよね、この人って。本人の性格なのかもしれないけど、グイグイ行く感じの、意志が強い役の演技は別格でイイ!
この根性の強さとか太さみたいなのって、それを持ってる人しか表現できないんじゃないかなって思うくらい強かった。オーディションで選ばれたのには納得の、彼女にぴったり合う役だったなあ。
この続きはネタバレありますのでご注意を~
考えてみると、このギュリのキャラクターが一番難解だったかも。会社経営をする両親を持つお金持ちの一人娘で、両親からのプレッシャーのせいで心を壊していたことはまでは理解できたんだけど、犯罪の匂いを嗅ぎ分ける嗅覚とか行動力が異常に強く、そうまでして金にこだわる目的は一体何だったのか…?
結果論だけど、別の方法で両親からお金を奪い取ることに成功したわけで、敢えて周りを巻き込んでまで危険を冒そうとする理由は何だったのか?が、少し見えにくかったかもしれない。
そして主役ジス役のキム・ドンヒくんも良かったね。「A-TEEN」では可愛い女子を誘惑しまくってたのに(ちょっとその言い方には語弊があるかな)あちらとは180度違う役で、根暗でイケてない男子高校生役がここまで似合うとは思わずビックリしちゃった~。寡黙な役なので目立つ見せ場はないものの、困惑し続けるジス君の表情演技には引き込まれたし。
ジスが生きている目的は「普通に進学して普通に就職する」っていうすごくシンプルなものなのに、それを叶えるためには、自首することすらできなくて、もう走り続けるしかないんだっていう閉塞感が見てて辛かった~!
もうほんと…ジスはなんでこんな仕事始めちゃったんだろ…。
ちなみに、ジスは売春の斡旋っていう高校生にしては相当ダークな仕事に手を染めてるんだけど、アプリを介して連絡を取り合うだけで当事者たちとの対話がないせいか、本人の罪悪感ってほとんど無いんだよね。
これってイマドキの若年犯罪者の実態なんだろうなって思ったし、罪悪感のない行動から重大犯罪に巻き込まれてしまう事に対する問題提起の意味を持つドラマだったんだと思う。
実際に韓国ではこのドラマ放送と同時期に「N番部屋事件」という未成年者を巻き込んだ性犯罪事件が起こったそうで、まさにこの時代に即したドラマだったんじゃないかな。(その影響もあってか各話ラストに相談ダイヤルの案内があります)
それから、ミニ(ミンヒ)役のチョン・ダビンの後半の伸びは半端なく良かった。こういう騒がしくて主張の強い役の方が演技は難しいと思うんだけど、元子役で経験豊富なだけに演技面では文句なし!(ダビンちゃんドラマだけで30本以上出てるんじゃないかな)
序盤は、こんな役するの?ってちょっと意外だったけど、後半になるにつれてストーリー進行を左右する重要な存在に。イ室長とミニは殺し屋と少女みたいな関係で、突然始まった韓国版レオンみたいなやりとりに驚いたけど、そこが想像以上に深くて熱くて良い話だった。
ミニの彼氏ギテ役を演じたナム・ユンスは、演技が少し軽い気がして唯一の心配要素~?なんて初めは思ってたんだけど(スミマセン!)ところがどっこい、めっちゃ良い仕事してたのよ~。
彼はこのドラマで第57回百想芸術大賞の新人俳優賞ノミネートされたほど(すごい!)。そんな評価を受けてか、この後に出たドラマ「恋慕」や「今日のウェブトゥーン」でも主役級の良い役だったもんね。
知能犯的なワルっぽく描かれてたギテが実は暴走族のトップ?で、仲間いっぱい連れて裏社会の大人たちと決闘しちゃうシーンには、このドラマの中で唯一「うそ~!?」ってなったけど…なんだかんだあそこは見せ場だったし面白かったw
ベテラン勢も相当アツイw
若いキャストたちが好演してるんだけど、それに加えてベテラン俳優勢もめっちゃ豪華だった!
ストーリーを紐解いていく女性刑事役では「ヴィンチェンツォ」で癖強すぎるチェ検事役を演じたキム・ヨジンが出ているんだけど(その相棒刑事役にはキム・グァンギュもw)、この人のモラルと執拗さが良い味出しててなんか濃いぃ~!刑事としての名前は「にこにこクソ女」だっけ?w すごい奇抜だけど言い得て妙なのよ…
で、このキム・ヨジン演じる女性刑事が、ジスが陥った犯罪に迫っていく重要な役割を果たすんだけど、彼女のタイムラインはジスよりも常に遅れているっていう演出がまた面白いの。恐らく彼らを犯罪から救うことのできる唯一の存在なんだけれど、カラオケに踏み込む時も、ジスが刺された後も、いつも彼女は重要な瞬間に少しだけ間に合わないのよ。
このやりきれなさとか、後味の悪さみたいなものが、このドラマにより深い現実感を与えてる気がした。
その他にも、いつもしわしわシャツ着てる担任の先生役では最近「いつかの君に」で見たばっかりのパク・ヒョックォンが良い味出しまくってたし(この人裏の顔がありそうだったけど…)、ジスの金持って逃げたお父さんも「マイ・ディア・ミスター」のパク・ホサンだったり(父さんが全ての元凶です)、ヤクザのボス役では「ザ・ファビュラス」とかでお馴染みイム・ギホン出てたし(私の中での韓国の三上博史w)、イ室長役のチェ・ミンスも渋くて不死身化しててめちゃくちゃカッコ良かった~!
出演シーンあんまりないのに、ギュリの両親役にはシム・イヨンとキム・ヨンピルも出てきたり、チェ・デフンもチラ見えしてたし、売春仲間のオンニ役でソ・イェファの姿も。とにかく配役に穴がないから余計にドラマの世界に入り込みやすかった。
미드 같은 연출로 재탄생한 문장들
— Netflix Korea|넷플릭스 코리아 (@NetflixKR) May 3, 2020
.#넷플릭스 #인간수업 pic.twitter.com/7VbXTwpy8n
エンディングに痺れたw
高所恐怖症の私としては、最後の階段だらけのシーンが一番怖かったー!
クラクラするほど危険な階段。いやこれ絶対落ちるでしょ~? どっち落ちるの? ジス? ミニ? ってハラハラしてたら、一旦ミニが帰っちゃって、ふ~怖かった、階段落ちは回避したのか~、と思わせてか・ら・の、やっぱ階段から落ちるんか~い!!(このドラマいつも予想通りにいかないよ…)ああああ、ほんと怖かった…。
そして、あの後のミニの生死についても、負傷したジスのその後だって、全ては語らずに状況だけで魅せていくのがこのドラマの本当に凄いところなのよ。エンディングでも大量の血痕だけ残してジスとギュリは忽然と消えてしまって…音楽が流れて…靄のなかでぼんやりと霞んでいる街並みを映して…ジスのヤドカリが…
って、な、なにこの恐ろしくカッコ良いエンディング!!
シーズン2を期待する声もあるようだけど、どうなんだろうね。考えてみたら、イ室長だって死んだとは誰も明言してはいないし。でも個人的にはこのエンディングすごく気に入ったし、このまま終わりでいいのかも。懲罰的なメッセージと絶望の中にも、微かに希望を感じられて良い終わり方だったんじゃないかと。
ちなみにこのドラマのエンディング、複数パターン撮られてたみたいで、キャストも実際にはどのパターンで終わるのか知らなかったそう…そんなところまでかなり凝ってマスw
そうそう、終盤でギュリが、赤いジャージを着てたり髪を赤く染めたりするんだけど、あの「赤」は何を暗示していたのかな~?…なんて考えたりしつつ、もう少しこのドラマの余韻を楽しみたいと思いますw ほんと良いドラマだった。
OST
オープニングテーマは、ファン・サンジュンの「Speak For Yourself」。
ところでこちらのファン・サンジュンはファン・ジョンミンの弟さんという情報も見たんですが…ソレ本当ですか!?
水飲み皿から考えると、エンディングで出てくるヤドカリは、第1話でジスがお水あげてた1匹目のヤドカリであって、ギュリからもらった2匹目のヤドカリではないのです…。