全然関係ないんだけど、このドラマ見る前にNetflixで「First Love 初恋」を見てたらあんまり泣き過ぎて、遂に鼻がおかしくなったのよww(木戸大聖くんが凄く良かった!)
ドラマで泣き過ぎて耳鼻科行くとかホント…家族に呆れられるので、しばらくは自制して泣く可能性が低そうなサスペンスドラマを見ることに。キム・ヨングァン好きなので、このドラマ気になってたのよ~。
見てみたら…たしかに泣くことは無かったんだけど、なかなか解釈の難しいドラマだった~!
作品情報
- 邦題:サムバディ
- 原題:썸바디
- 英題:Somebody
- 放送:2022年
- 話数:8話(1話約50分)
- 日本国内配信:Netflix(2023.8現在)
予告編
あらすじ
評価(momoruruが勝手に採点♪)
総合評価 84点
※エロ&グロいシーンがとても多いので視聴注意です※
出会い系アプリを利用した快楽殺人鬼の建築デザイナーが男性主人公で、感情を理解するこができないアスペルガー症候群の天才プログラマーが女性主人公のサイコスリラー&ロマンス。
もしや「背徳の美」的に描かれるのかなと思って見始めたんだけれど、そこにあったのはすさまじい混迷だった!
事実だけが淡々と描かれていって、最後まで誰の感情も分からないという、とっても野心的な作品。人によって解釈が違うドラマかも…というか私には解釈すら難しかった。
感想
解釈が難し過ぎる~!
「うーん…ムズカシイ…」
見終わってすぐの感想はこの一言に尽きる。誰かに解説して欲しくなったくらい混乱したドラマだったよ。
まず先にお伝えすべきことが。このドラマは全話通して性描写が多く、グロいシーンが多々ありますので、苦手な方は視聴にはご注意くださいね。なにしろ男性主人公が快楽殺人鬼なので…。
このドラマの特徴は、”状況だけで構成されていくストーリー”なんじゃないかと思う。行動に対する説明はほぼ無く、また登場人物たちの感情は語られず、与えられた事実だけをたよりに行動の意味を推測していくドラマ。
そして映像がまるで映画のように暗いの。暗くて薄気味の悪い画面の中で描かれていくのは、自閉スペクトラム症、身体障碍者、祈祷師、サイコパス、エロス、LGBT、レイプ未遂、快楽殺人、悪霊、犯罪、罪と罰…そんな困難なテーマたちばかりが混在している世界。
そんな混沌の中に描かれていく「愛のようなもの」を見せられたドラマっていう印象。
とても野心的な作品だと思う。
予告編を見た時には、「快楽殺人鬼を愛する女性」という異質な存在が昇華した独創的な世界が見られるのかな?っていう期待もあったんだけれど…
実際にはだいぶイメージとは違くって。多すぎる混沌は混乱でしかなく、そして映像を見た人がそれを整理して解釈していく必要があるので…正直受け取り手がやるべき作業が多過ぎる作品かもしれない。
個人的には「見た人がそれぞれに解釈して欲しい」という作品はあまり得意ではないので、難しく感じたかな。ドラマでこういう表現はとても斬新だと思うので、サイコホラーのようなジャンルが好きで、かつ解釈をする余裕がある人にはかなりオススメかもしれないんだけど。
不快なシーンの演出が巧い
見終わった後でもなかなか消化できてない部分があるんだけれど…。ただ、薄気味の悪い演出が巧妙だったのはとても印象的だった。見ていてとにかく居心地が悪いの。(この雰囲気が苦手に思う人にはかなり辛いんじゃないかと思う。私も正直あんまり好きな感じではなかった)
ただ上手いな~とは思うんだよね。音楽なんてとても印象的で、70~80年代風のゲーム音楽だったり、火サスみたいなクセの強い効果音楽だったり、スカボローフェアまで流れちゃったりしてて…場にそぐわないいびつさがあって全くもって落ち着かない。
それに加えて画面に映し出されるのは、錆びだらけで不気味な巨大サイロや、高所での強い風切り音、取り壊されるゴミだらけの商店街、祈祷師の祭壇、血液、刃物、…そして何より繰り返し異常なまでに誇張されるユノの息遣い…
とにかく不快…!!この不快感の中で、いとも簡単に人を手にかけていく快楽殺人鬼の行動を見ているといたたまれない気持ちになっていく、っていうこの演出には私もまんまと乗せられた感じがしたし、強烈なインパクトだった。
この続きはネタバレありますのでご注意を~
誰にも共感させてくれないドラマ
加えてこのドラマって誰にも感情移入できないように作られている気がするのよね。
女性主人公ソムは感情が分からない人物なので、ソム自身にも感情がない(ように見える)し、彼女は表情もほとんど変わらない。本人にすら実感できていない主人公の感情に、見ている人が感情移入するのはほぼ無理なのよ。
元親友のギウンもなぜユノを追いかけているのか理由までは語られない。殺されそうになった相手を執拗に追い続ける理由は何なのか?恨みなのか、執着なのか、もしくは愛情なのか?
それからギウンの友人の祈祷師モグォンは霊視が出来るんだけれど、彼女に何がどこまで見えているのかも分からない。そしてなぜソムを助けるのかも。
殺人鬼である男性主人公ユノも、考えてみたら過去の描写があったのは1件目の殺人事件についてだけで。家族も過去もトラウマも語られない。殺害する相手を選ぶ基準も、殺人の引き金になることも分かりにくく、殺人鬼にありがちな美学も感じられない。証拠を消すつもりも無いのか、殺した相手のスマホを使い、顔を見られているギウンにとどめは刺さないし。ソムのことも初めは拒絶したように見えたのに…。
とにかく誰の感情も分からないままストーリーが進んでいくんだよね。分からないまま見続けるのってなかなか辛い作業でもあって、特に1~6話までは気分の悪いシーンが続いていくので、私は3話くらいで一度脱落しかけた…(いくらキム・ヨングァン好きな私でもなかなかに辛かった!)ただ、7~8話の気だるくて排他的な雰囲気で、逆に結構好きだったのでなんとか完走。
モグォンとの会話から結末は予想できたけど、ソムの感情が全く分からないままセンセーショナルなエンディングを迎えるというのは…なかなかの衝撃的な展開だった。
キム・ヨングァンの上半身の主張が強い!w
やっぱり見た人がみんな気になったところだとは思うんだけれど(w)キム・ヨングァンの露出がなかなか凄くて…。性描写がとても多いこのドラマでは半裸orパンイチ(たまに全裸)になってることの多かったヨングァンの上半身がとんでもなくイイ感じなのには驚き~!背中が広すぎる~!!!
引きで見るとほんとに9頭身で人間離れしたスタイルなんだよね、ヨングァンって。さすがモデル出身~!
でもー!いつものラブコメのヨングァンはにこにこしてて可愛い印象しかないのに~、この役はマジで気持ち悪かったよぉぉ。昔のオタクみたいなあのヘンテコメガネの似合い方が逆にヤバくって…この人、実は本当に気持ち悪い人なんじゃないかって思っちゃうくらい…(そんなことはありませんw)。
このドラマでヨングァンを初めて見て、彼を好きになった方がいるとすれば、それは…なかなか逞しい人なのでは!?w 私はこのヨングァンね、もし夜道ですれ違ったら息止めて逃げたいくらいに、もうビジュアルが怖過ぎた~!
それにね、あんだけ体がでかい人間にとっては、相手が女だろうが男だろうが、抱え込むだけで窒息死させられるんだってことに私は衝撃を受けたのよ。なんつーか殺し方がアナコンダ的で怖すぎるんだわ。体が大きくて見た目が怖い人を見るとなんだかゾクっとするんだけど、あれは本能的なものなのかも…。
ヨングァン、この役を受けてホント良かったの?と不安になったもの。イメージ回復のためにもしばらくは悪役受けないで欲しいけど、でもまあこれより酷い役はなかなか無いだろうから…心配無用か。
ソムのその後が気になってしまう
ソムを演じてたカン・ヘリムが凄く良かった。アスペルガー症候群だったソムの、目が合っているのに目線は合ってないような独特の目つきがとっても魅力的。カン・ヘリムは2016年のミスコリアだった人で(どうりでスタイルが良いわけだ)ドラマ主演は初めてだけど、韓国では再現VTRのお姉さんとして有名な人なんだそう。
ソムは最初から最後まで予測不能な人だったけど、エンディングでは物音もたてずに近づき、目と首を狙って正確に殺すという必殺仕事人ぶりには度肝だった!そして殺人にエクスタシーを感じてしまったソムは、これからどうなってしまうんだろう…と思わずにはいられない。序盤から言ってた「罪に見合った罰」を自らに下す可能性もあるのかもしれないのよね。
それから巫堂モグァンを演じてたキム・ヨンジのショートカット可愛かった~。性別が分からないくらいカッコイイ女の子だったね。「ミスター・サンシャイン」のホタル役も印象的だったし、「ザ・キング」にも出てたけれど、この役では少しふっくらしてて可愛い。顔立ちからてっきりハーフかと思ってたけど生粋の韓国人なんだそう。えええ。
まだまだ分からないことがたくさんある
そしてこのドラマ、私にはまだ分かってないことがたくさんあって。
・何度も映し出されるキャンディは何のメタファー?
・ユノの背中の大きな傷はなぜ?
・someoneの意味深な発言の理由は?
・手の人がなぜサーバールームに?
・合成された映像を作り出したのは誰で目的は何?
・ソムが上着の上にパーカー着てたのは何故?
とても巧妙だった演出から考えて、何もかもに全て理由があるはずって思っちゃうんだよ。もう一度ドラマを見て真実に近づきたいような気もするし、二度目はさすがに怖すぎて考えることを放棄しちゃいたいような気もするし…うーん、どうしましょう。とにかく不思議なドラマだった。
最終話で巫堂に現れたユノが、パーカーのフードかぶったまま壁から”ひょこりはん”してたのには吹いたww